3分でわかるBtoBマーケティングとは?戦略や成功事例を解説
- そもそもBtoBマーケテイングとは何か、BtoCマーケティングとの違い
- BtoBマーケティングで求められる顧客との“リレーション”とは
- 戦略を考えるために必要な知識とBtoBマーケティングの主な手法
自社のBtoBマーケティングチームを強化したい
リード獲得はできているのに、成約件数が伸びない
広告やオウンドメディア、何にどう注力したら良いかわからない
BtoB企業のマーケターをしていると、このような課題に悩むこともあるでしょう。

BtoBマーケティングと聞くと、MAツールやコンテンツSEO・メルマガ・テレアポなどといった手法を思い浮かべる方も多いと思います。
もちろんこれらのツールや施策が、BtoBマーケティングにおける一手段であることは間違いないのですが、本質的な意味で成果を得るには、顧客ニーズの把握や良好な関係構築が欠かせません。
本記事では、累計50社以上の事業成長に貢献してきた弊社の知見を活かして、BtoBマーケティングとはそもそも何か?といった基礎知識から、具体的な手法論や成功事例についてBtoBマーケティングの全体像を解説します。
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BtoBマーケティングとは?
BtoBとは「Business to Business」の略で、法人向けのビジネスモデルあるいは取引きを指します。
【BtoB商材・サービスの一例】
- 「Zoom」や「Google Meets」などのWeb会議ツール
- 社員やアルバイト・パートの出退勤を把握する勤怠管理システム
- 経営コンサルティングや広告代理店
そもそも、マーケティングとは?
「現代マーケティングの父」と呼ばれるフィリップ・コトラー氏の言葉を借りると、マーケティングは以下のように表せます。
「マーケティングとは、充足されていないニーズや欲求を突き止め、その重要性と潜在的な収益性を明確化・評価し、組織が最も貢献できる標的市場を選択したうえで、当該市場に最適な製品、サービス、プログラムを決定し、組織の全成員に顧客志向、顧客奉仕の姿勢を求めるビジネス上の機能である」
※引用:コトラーのマーケティング・コンセプト(フィリップ・コトラー著)
つまり、ユーザーニーズを深く理解した上で、事業として収益性が見込める市場を選定し、最適な製品・サービスを提供することと言えます。
これをBtoBに特化した戦略や手法・コミュニケーション方法などを総じて、「BtoBマーケティング」と呼びます。
BtoCマーケティングとの違い
BtoBは、企業対消費者(BtoC)と異なり、意思決定者が多い、購入単価が高い、製品・サービスが購入されるまでの検討期間が長いといった傾向があります。
特に、中〜大企業の場合は、一般社員 / 部長 / 社長など、多数の承認フローが発生するため、検討期間が長期化するのが特徴です。
項目 | BtoB | BtoC |
対象者 | 企業 | 消費者(個人) |
顧客数 | 少ない | 多い |
購入単価 | 高い | 低い |
意思決定者 | 社長や部長などの決裁者 (複数人) | 本人 (基本的に1人) |
検討期間 | 長い | 短い |
BtoBとBtoCは相対するものではなく、どちらもあくまでもビジネスモデルの一種と考えるべきではありますが、ターゲットとする顧客層が法人なのか消費者個人なのかでは戦略の立て方が異なってくることは押さえておきましょう。
また、購入のゴールやモチベーションも、BtoBとBtoCでは異なります。
項目 | BtoB | BtoC |
顧客のゴール | ROIの改善や業務の効率化 | 生活の改善やエンターテイメント |
顧客のモチベーション | 組織の合理性や金銭的なインセンティブによって動かされる | 感情によって動かされる |
BtoCは生活の改善や娯楽・エンターテイメントを求めるために製品やサービスを購入されますが、BtoBの場合は、ROI(費用対効果)の改善や業務の効率化が購買目的となります。そのため、感情によって意思決定されるのではなく、金銭的なインセンティブも含めロジカルに購入の決定がなされる傾向にあります。
購入までに複数人の意思決定者がいることがほとんどなので、一人ではなく全員を納得させるような製品・サービスの優位性や、費用対効果、企業の信頼性などをアピールしていくことが求められます。

BtoBマーケティングで求められる顧客との“リレーション”とは?
ここまででBtoBマーケティングの特徴をご理解いただけたと思いますが、意思決定者が誰であれ、検討期間がどれくらいであれ、企業が最終的に目指すべきものは売上の向上です。
そこでBtoBマーケティングにおいて重要な考え方は、自社製品・サービスの認知から購買に至るまで、顧客との関係性を良いものにし続けることです。これを、「リレーション」とも言います。
具体的には、リードの創出 → ナーチャリング → リードクオリティケーション → 商談・受注のステップがあります。
※リードとは見込み客を指します。
※SaaSビジネスの場合は「継続利用」も重要指標となります。
これを図にすると、下記のようになります。

図の下部にいくにつれ、受注に近づいていくイメージです。ここではなぜリレーションが重要なのか理解するために、一つずつ上から見ていきましょう。
1. リードジェネレーション(創出)
リードジェネレーションとは、自社の製品やサービスに興味や関心を持っている「見込み客」を作り出すことです。マーケティングのプロセスでは、顧客と一番最初に接点を持つきっかけとなります。

その手法は様々で、例えばオフラインでは、プロダクトの展示会やセミナー、テレアポ、名刺交換、テレビCM、交通広告(デジタルサイネージ)といった手法が用いられます。オンラインの手法では、Web広告・コンテンツマーケティング・メルマガ・Webセミナーといった手法が挙げられます。
2. リードナーチャリング(育成)
BtoB事業のリードには、お問い合わせの時点で購入をほぼ決めている「今すぐ客」と、まだ自社サービスをよく知らず購入意識が低い「見込み客」がいます。後者の見込み客を、自社の顧客に育成していくためのプロセスが、リードナーチャリングです。

獲得したリードのうち、今すぐ購入を検討したいと考えている購入確度の高いリード(ホットリード・今すぐ客)は、全体のわずか10%程度と言われています。つまり、残りの9割のリードは、商品やサービスに対する一定の興味や関心はあるものの、直近での購入は考えていないリードです。
例えば、せっかく展示会やセミナーの開催・Web広告への出稿など予算と時間をかけて自社のことを知ってもらったにもかかわらず、そのままフォローアップせずに放置しているとどうでしょうか。当たり前ですが最終的な売上には繋がりにくいですし、事業投資に見合った十分な効果も期待できません。仮に認知拡大のために広告を活用し、見込み客100人をCPA(一人当たりの獲得単価)10,000円で獲得したとしても、最終的な受注率が10%の場合は、90件/100件は失注、つまり90万円の損失とも考えられるのです。
そこで今すぐの購入を検討していないとしても、潜在的にニーズを抱えているリードに対して、コンテンツを用いた有益な情報の提供や、現状の課題に対するヒアリングと提案を行っていくことで、興味や関心度を高め、最終的に顧客化に繋げていきます。
上述したようにBtoBマーケティングの場合、意思決定のプロセスが複雑で、検討期間が長期化する特性があります。それぞれのリードがどのような悩みや課題を抱えているのかを、しっかりと把握し、最適なコミュニケーションを取っていくことが大切です。
3. リードクオリフィケーション(選別)
実際に商談や受注に繋げる前に行う最後のプロセスが、「リードクオリフィケーション」です。クオリフィケーションとは「選別」を意味し、ナーチャリングしたリードの中から購入確度の高いホットリード(今すぐ客)を見つける作業のことを指します。

リードクオリフィケーションには、購入確度を推測するために「スコアリング」という手法がよく用いられます。例えば、メルマガを開封したリードに3点、資料請求をしたリードに5点、セミナーに参加したリードに10点など、リードに点数を付けていく、一定の点数を超えたリードを、ホットリードと定義します。
このホットリードをリスト化し、セールス部門にトスアップしていくことで、無駄なく効率的な営業活動を展開することが可能になる、リードに対して最適なタイミングでアプローチすることができるといったメリットがあります。

なお、スコアリングの方法は、リードの属性や興味・関心度、行動など様々な基準で行います。リードと対面する機会の多いセールスや実際に顧客へのヒアリングを行い、最終的に購入に到るリードは、どのような属性や行動を行っているかを把握した上で、設計する必要があるでしょう。

4. 商談・受注
ホットリードに対して、実際に商談を行い、受注へと繫げます。商談の際には、リードを獲得した段階からナーチャリングまでで、リードがどのような行動を起こしてきたのかを、しっかりと把握しておく必要があります。
例えば、メルマガを頻繁に開封してくれたリードなのか、過去にセミナーに参加したことがあるリードなのか、いつから商品やサービスに興味を持っていたのか、などを把握することで、営業トークに活用し、受注率を高めていくことが期待できます。
▼ポイント
- 前提として受注率(受注件数/ 商談数)はサービス単価によって異なり、おおよそ10%〜30%と考えられています。仮に10%を大きく下回っている場合は、商談履歴を洗い出し、提案内容を見直すことをおすすめします。
5. 継続利用
SaaSやサブスクリプションのようなビジネス形態の場合、商談・受注して終わりではなく、いかに顧客に継続してサービスを利用してもらえるかに注力する必要があります。
KPIとして「解約率(チャーンレート)」を低く保つかが議論されますが、そこで重要になってくるのがカスタマーサクセスの役割です。
カスタマーサクセスは、顧客からの悩みや不明点に回答することや、顧客の課題解決のためにサービスの利用状況を把握し、積極的にアドバイスしていくような役割を担います。
以上のようにBtoBマーケティングでは、単に「購入してもらう」「リードを作り出す」のではなく、最終ゴールを見据えた顧客との中長期的なコミュニケーション設計が重要だということをお分かりいただけたでしょうか。
