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教育格差なくしたい 教育系ユーチューバー・葉一さん

2022年10月19日

小学生から高校生までの授業を動画配信サイト「ユーチューブ」で無料公開する葉一(はいち)さん(37)。東京学芸大で小・中・高校の教員免許を取得した後、営業マン、塾講師などをへて「教育の所得格差と地域格差を解消したい」と、10年前にユーチューブ・チャンネル「とある男が授業をしてみた」を開設した。以来4千本を超える動画を配信し、チャンネル登録者数は182万人、総視聴回数は6億回に上る人気チャンネルとなった。

■分かりやすさに人気

学生時代の教育実習や社会人時代に触れた学校や塾など既存の教育とは一線を画す「どんな子供でも平等に、教育の機会を確保するためにはどうしたらいいか」と思っていたところ、ユーチューブの存在を知った。

現在、小学生向けは算数、中学生は国語、数学、社会、理科、英語の5教科、高校生には数学を配信している。

葉一さんの動画が人気なのは「分かりやすさ」と動画の「短さ」にある。

「板書は作品」と言い、塾講師時代に開発した「男の子にも女の子にも受けのいい書体」で、1~1時間半かけて、説明する言葉を同時に考えながら書く。

動画を視聴している子供たちは質問ができないので、「疑問が残らないように言葉の選び方にも気をつけている」という。

■1回の授業は10分

撮影はライブ感を出すために「一発撮り」だ。レンズの向こうにいる子供たちをイメージしながら、学年に合わせた言葉で語りかける。「教える側は知識があるので、しゃべろうと思えばいくらでもしゃべれる。見る子供たちをイメージして、何を話して何を話さないかを事前に決めることが大事だ」。こうして、1回の授業は10分程度の動画にまとめられる。

教科書を丸々一冊動画にするのもポイントだ。子供たちがつまずきやすいところに傾向はあるが、塾講師のときにいろいろなところでつまずく子供を見てきた。「うちのチャンネルに来れば、疑問が解決できると子供たちに思わせてあげたい。短い時間でこんなに学べるのかという衝撃を与えたい」

■教師向けに動画も

授業動画の配信を始めた当時、教育界ではユーチューブに否定的な見方が大勢だった。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大により、人々の実世界での活動が制限され、生活のさまざまな場面で動画配信が活用されるようになり、理解が深まった。教師からの要望が相次ぎ、授業動画の撮り方を教える動画も撮影したという。

「リアルとネットの授業、それぞれにメリットデメリットがある。それらを理解した上で、必要であれば既存のコンテンツを使ったり、自身で製作してもらったりしたらいい。教育の選択肢の増加は子供たちにとってもメリットだと思う」

■新聞はフラット

NIEについては「ニュースなどの情報収集をするときに、新聞はフラットな状態で事実を知ることができる。フラットだからこそ、子供たちが自分の意見を持ち、議論がしやすくなる」と意義を語る。

テレビやユーチューブは「テロップや効果音の入れ方でイメージ操作できる」ので、子供たちが1つの意見に流され、ディベートが成立しなくなる恐れがあるという。

「子供たちに必要な能力は」と問われると「情報を捨てる能力」と答えるという葉一さん。嫌でも情報が入ってくる時代、子供たちは情報過多になって心が潰れていく。自分にとって適切な情報を選ぶ力、いらないものを捨てる力を持つことが、情報リテラシーの養成につながるとみている。

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YouTuber

Posted by 速報部長