3分の1の国「景気後退入り」のおそれ IMF専務理事が警告
国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事は6日の講演で、世界の3分の1に相当する国々が今後、景気後退入りを示す「2四半期連続のマイナス成長」に陥るおそれがあると警告した。IMFが近く発表する最新の世界経済見通しでは、2・9%としていた来年の世界の実質経済成長率予測を「引き下げる」と明言。
ワシントンで講演したゲオルギエバ氏は、ウクライナ危機などに端を発する物価高(インフレ)が、IMFなどの当初の想定を超えて長引いていると指摘。世界経済が、4年後までにドイツ経済に相当する4兆ドル(580兆円)分の国内総生産(GDP)を失うとも予測し、「世界経済は荒波の中を進む船だ」と危機感を強調した。先行きの不確実性は高まっており、「よくなるよりも、さらに悪くなる可能性の方が高い」とも述べた。
ウクライナ危機以降、世界では食糧危機やエネルギー不安、インフレが各地で進行。経済成長を引っ張るはずの米欧中とも不安材料だらけだ。ゲオルギエバ氏は「(各地の)中央銀行が対応を続けなければならない」と述べ、景気を冷やすおそれがあっても、まずはインフレ退治が先決だと強調。そのうえで、各国政府の財政政策を通じて、低所得層などを支援していくべきだとした。