スポンサーリンク

いまの日本の資金力ではどうにもならない…為替介入での“円安阻止”が「絵空事」と言える理由

2022年10月28日

スポンサーリンク

1998年6月以来、約24年ぶり

 政府・日銀は9月22日、円安進行に歯止めをかけるため、ドル売り・円買いの為替介入を実施。ドル売り・円買い介入は1998年6月以来、約24年ぶりとなる。為替介入によって、円安進行に歯止めはかかるのか。

22年の年明けからの為替相場の動きを見ると、急激なドル高・円安の動きは3月から始まったことがわかる。3月には1ドル=115円近辺だった為替相場は、5月初旬には1ドル=131円台にドル高・円安が進む。  

5月下旬には、いったんは落ち着きを見せ、1ドル=126円台までドル安・円高が進んだものの、その後、再びドル高・円安が進み、7月中旬には1ドル=139円台へとドル高・円安が進んだ。  

8月初旬にかけては、ドル安・円高の動きが強まり、1ドル=130円台へとドル安・円高が進んだものの、8月中旬にからは一気にドル高・円安が加速し、9月22日には1ドル=146円目前までドル高・円安が進行した。為替相場は、3月から9月の半年間で、約30円(約26%)も円安に振れた。

これまで為替相場が大きく変動した要因は様々だが、今年に入ってのドル高・円安進行の主要因は、インフレ抑制のために利上げを続けている米国に対して、大規模金融緩和策による低金利政策を継続する日本との金利差にある。  

米国の中央銀行FRB(連邦準備制度理事会)は、3月0.25%、5月0.50%、6月0.75%、7月0.75%、9月0.75%と政策金利の引き上げを続けている。

急激なドル高・円安の動きの背景

 9月の日米の金融政策決定会合は、市場関係者の大きな関心事だった。米国では9月20、21日にFOMC(米連邦公開市場委員会)を、日銀は21、22日に金融政策決定会合を開催した。  

FRBは21日のFOMC終了後に0.75%の利上げを発表しており、日銀の金融政策決定会合は米国の“利上げを知った上で”、金融政策の現状維持を決定したのだ。そして、日銀が金融政策の維持を決定した後、1ドル=145円台へのドル高・円安進行局面で為替介入が行われた。 

この急激なドル高・円安の動きの背景には、FRBの強い意思表示が関係している。21日に米国が利上げを発表する前までは、為替相場には米国の0.75%の利上げはある程度織り込まれていた。  

ところが、21日発表されたFOMCの声明文では、インフレ率を2%に戻すため、「この任務が完了するまで(利上げを)根気強く続けていく」という強い意志が示された。これは、FRBが今後も大幅な利上げを行う可能性を示したもので、ドル高・円安を加速させる一因となった。  

そこに持って来て、日銀が金融政策の現状維持を決めたことは、ドル買い・円売り(ドル高・円安)を積極化する十分な材料となったのだ。  

さて、為替介入の話に移ろう。  

為替介入の正式名称は「外国為替平衡操作」という。為替政策は財務省の管轄であり、為替介入は財務大臣の権限で実施される。介入を行う場合には、財務省の外国為替資金特別会計(外為特会)の資金が使われる。円安阻止には「ドルを売って、円を買う」、円高阻止には「ドルを買って、円を売る」というオペレーションを実施する。財務省の指示を受けた日銀が、市場で実際にオペレーションを実施することになる。  

とはいえ、為替介入は簡単なものではない。そこには3つの鍵がある。第1は介入する通貨の当事者国(例えばドル・円相場に介入するためには米国)とのネゴシエーション、第2は経済・社会情勢の適切な判断(ドル・円相場の目標)、第3が巨額の介入資金だ。

スポンサーリンク

為替・FX

Posted by 速報部長