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黒田日銀総裁「為替介入は適切」 賃上げに期待

日本銀行の黒田東彦総裁は26日、大阪市内での記者会見で、政府・日銀が22日に実施した為替介入について「過度な変動に対する必要な対応として実施されたものであり、適切だった」との見解を示した。

会見に先立ち行われた関西経済界との懇談では、大規模な金融緩和を続ける考えを強調した上で、「賃金の上昇を伴う好循環の形成を後押ししていく」と述べた。

日銀は22日、金利全体を低く抑える政策の継続を決めた。利上げを急ぐ米欧の主要中央銀行との政策の方向性の違いが鮮明となり、運用面の魅力を失った円売りが加速。これを止めるため政府・日銀は約24年ぶりに円買い介入を実施。

「日銀が目指しているのは経済活動が改善し、賃金や企業収益が増加する中で、物価も緩やかに上昇する好循環だ」。黒田総裁はこの日、経営者を前にこう力説した上で、今後の賃金交渉がこれまでの物価上昇を反映した内容となることに期待感を示した。

今年4~6月期の法人企業統計によると、金融・保険業を除く全産業の経常利益は過去最大だ。新型コロナウイルス禍で打撃を受けた観光業も、訪日客の受け入れ拡大で回復が期待される。しかも、企業の「内部留保」に当たる利益剰余金は昨年度に初めて500兆円を超え、10年連続で最大を更新。企業が賃上げに前向きになれる土壌はある。

ただ、「資源・原材料価格は依然高い水準であり、昨今の円安が拍車をかけている」(関西経済連合会の松本正義会長)と、経済界は過度な円安進行の悪影響を警戒する。 金融市場では、為替介入の効果は「長持ちしない」との見方が根強く、「仮に介入効果が限定的となり、円安が進み、物価上昇に賃金上昇が追いつかないと、景気後退につながるとの懸念もある」。

円安進行のリスクを抱える中、日銀の目指す「好循環」の実現のハードルは高そうだ。

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為替・FX

Posted by 速報部長